【ブルーロック】GAGAMARU symphony
第3章 近くの野生児
それをしばらく見ていると我牙丸くんはカバンから手を抜いてポンッと私の机に取り出したものを置いた。
CDケース。
アーティストは…
「サザンオールスターズ…?」
呆気にとられてCDケースを見ている間にも更にカバンからポンポンCDが出てくる。
結果、私の机には15枚のCDケースが無造作に置かれた。
全部サザンオールスターズ。
え、何?
「我牙丸くん、このCDは…?」
「サザン」
「うん、そうだね」
「透に貸そうと思って持ってきた」
「え…あ…んーと…なんで?」
「好きだから」
「え…」
「俺が」
「あ、そうなんだ…」
「透、いつも音楽聴いてるから。聴くかなって」
「あ…あーうん、ありがとう…」
別に音楽が好きで聴いているわけじゃない。
適当に流れてくる流行りの曲を聴いているだけで詳しいわけではない。
特に好きなアーティストがいるわけでもない。
サザンだって有名な曲は知ってる。
耳にしたことのある曲だってたくさんある。
でも、その他の曲を聴いてみようなんて思ったこともなかった。
机に広がる色とりどりのCDのジャケットを見てから我牙丸くんを見る。
「?」と不思議そうに私を見返してくる。
「あのさ…」
「?」
「もしかして、これ、貸してくれようとして…話しかけるのにずっとこっち見てた…の?」
「うん。いつなら話しかけていいかわからなかった」
「いつから?」
「あー、四日前?」
「え…四日前からこの量のCD持ち歩いてたの?」
「うん」
「…初日に声かけてくれたらいいのに」
「目が合わなかったから」
「いや、目が合わなかったら話しかけちゃいけないわけじゃないでしょ?」
どこのポケモントレーナーだよ。
「うん。だから肩叩いて呼んだ」
「そっか。でも、指立てるのは余計じゃない?」
「うん。それは遊び心」
「もー、なにそれ?」
クスクスと笑う。
笑ってから自分が笑っていることに気づいてハッとする。
なんか我牙丸くんといると自然にしゃべっている自分につくづく驚く。
私は慌てて我牙丸くんから視線を外すと机の上のCD達をひとまとめにして自分のバッグに入れた。
まぁまぁカサがある。
「なるべく早く返すね…ありがと」
「いつでもいい」
我牙丸くんはほんの少しだけ口角を上げると自分の席に座った。