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【G@lileo】音色の方程式

第9章 『予兆く』




 「……今日は吹くのやめます」

 「そうか」

 「部活も休もうかな」

 「その方がいい」

 「先生が言ったからじゃないですよ」

 「分かっている」

 「自分で決めました」

 「ああ」

 「…………」


 なんか、少しだけ悔しい。

 でも、さっきより、
 少しだけ楽になった。


 「じゃあ、今日は帰ります」

 「ああ」

 「水、ごちそうさまでした」

 「気をつけて帰れ」

 「…………」

 「何だ?」

 「いえ。何でもありません」


 私はそう言って立ち上がる。


 フルートケースを持ち直し、数歩歩く。

 そこで、ふと思い出した。


 「先生」

 「何だ?」

 「今日、私が来なかったら」

 「…………」

 「また窓見てました?」

 「何故そうなる」

 「前あったじゃないですか」

 「あれは偶然だ」

 「はいはい」

 「だから、その返事はやめろ」

 「じゃあ、また木曜日」

 「ああ」

 「今度はちゃんと寝てきます」


 歩き出そうとした、その時。


 「無理なら来なくていい」

 「…………」


 背中から飛んできた声に振り返る。

 先生はもう、手元の本へ視線を落としていた。


 「先生」

 「何だ?」

 「それ、覚えておきます」

 「何を?」

 「無理なら来なくてもいいってこと」

 「ああ」

 「じゃあ、本当に来ないかもしれませんよ」

 「君の自由だろう」

 「…………」

 「何だ?」

 「何でもありません」


 今度こそ、先生に背を向ける。

 少し歩いてから、
 なんとなく、もう一度だけ振り返った。

 先生はいつものベンチで、本を読んでいた。





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