第8章 間章『第三者の観測』後編
「さっきから何なんだ?」
「何でもありません」
「そうは見えないが」
「本当に何でもないです」
「なら笑うな」
「無理です」
「何故?」
「だって」
内海が星宮を見る。
「仲いいんだもん」
「友達なので」
星宮が即答する。
「そういうことだ」
湯川も続ける。
「…………」
内海の視線が草薙へ向く。
草薙も無言で内海を見る。
栗林はそのやり取りに気づいて、
ほんの少しだけ肩を竦めた。
「…………」
「何ですか?」
星宮が三人を見る。
「また何かあります?」
「いいえ?」
内海が満面の笑みで答える。
「何もありません」
「その顔で言われても説得力ないんですけど」
「ふふっ」
「ほら!!」
「ごめんごめん」
「先生」
「今度は何だ?」
「やっぱり苦い」
「だから砂糖を足せばいいだろう」
「先生入れて」
「自分でやれ」
「友達なのに」
「それはもう聞いた」
「一個だけ」
「断る」
「ケチ」
「君は僕に何を期待しているんだ」
「砂糖一個」
「…………」
湯川が小さく息を吐く。
そして、星宮のカップを取った。
砂糖を一つ入れる。
スプーンで混ぜて戻す。
「これでいいだろう」
「ありがとうございます」
「最初から自分でやれば済む話だ」
「先生が入れてくれた方が美味しいかもしれない」
「そんなわけがあるか」
「まだ飲んでないから分かんないでしょ」
「科学的根拠がない」
「はいはい」
「何だ、その返事は」
「草薙さんの真似」
「やめろ」
「…………」
内海がとうとう顔を背けた。
肩が小さく震えている。