第14章 『応答る』
私は画面を見たまま、
少し悩んでいた。
何か、送ろうかな。
でも、大した用事はない。
「…………」
以前ならそこで、
終わっていた。
用事がないなら、話さない。
でも今は、先生と何か話したい。
『先生』
『何だ?』
「…………」
今度は返信が早かった。
それがなんとなく嬉しかった。
『今日、ちょっとだけオケうまくいったんです』
『何が?』
『この前ずっと苦手だったところ、ちゃんと入れました』
『そうか』
「…………」
終わり?
先生、それだけ?
そう思った。
数秒後、
スマートフォンがもう一度震える。
『よかったな』
「…………」
画面を見る。
少しして笑った。
『先生にしては満点です笑』
『基準が低くないか?』
『低くしてあげてるんです』
『余計なお世話だ』
「…………」
楽しい。
ただ文字をやり取りしているだけ。
それなのに、
先生が今同じ画面を見ている。
そう思うだけで、
少しだけ距離が近くなった気がした。