• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【G@lileo】音色の方程式

第14章 『応答る』




 その日の夜。
 午後十時二十一分。


 「…………」


 私はベッドに寝転がりながら、
 スマートフォンを見る。

 まだ、連絡はない。


 「遅……」


 先生、まだ大学なんだろうか。

 入力欄を開く。


 『まだ大学ですか?』


 打って、止まる。


 「…………」


 いや、忙しいかもしれない。

 研究してるかもしれない。
 邪魔したら悪い。

 入力欄の文字を全て消し、
 スマートフォンを伏せる。

 数分後、
 また画面を見る。

 時間は午後十時二十八分。


 「…………」


 結局、


 『まだ大学ですか?』


 送ってしまった。

 すぐには既読にならない。


 「…………」


 また、スマートフォンを伏せる。

 でも、気になる。

 また見てもまだ既読は付いていない。


 「……何してんだろ、私」


 そう呟いて、
 分かっているのに、
 画面をもう一度だけ確かめた。




    *




 その頃、
 研究室に居た湯川は黒板に数式を書いていた。

 スマートフォンは机の上。
 画面にはメッセージ通知が来ていた。
 しかし、湯川は気づかなかった。

 数分後、チョークを置いて机へ戻る。


 「…………」


 画面を見る。


 『まだ大学ですか?』


 時刻は午後十時三十一分。


 『まだいる』


 メッセージを送って数秒、


 『遅い!』

 「…………」


 湯川は僅かに眉を上げた。


 『君に怒られる理由が分からない』

 『帰る時連絡するって言ったじゃないですか』

 「…………」


 言った。

 正確には、
 彼女が帰る時に連絡してほしいと言った。

 そして、それを自分は了承した。


 『すまない。忘れていた』


 少しして、


 『珍しいですね 先生が忘れるなんて』


 「…………」


 その文章を見る。


 『研究に集中していた』

 『ですよね笑』


 そこで会話が止まった。

 湯川はスマートフォンを置き、
 数式へ戻る。


 「…………」


 数分後、
 もう一度画面を見る。

 新しい通知はない。


 「…………」


 湯川は再びチョークを取った。





/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp