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【G@lileo】音色の方程式

第12章 『離隔る』




 「…………」

 「先生!!」


 星宮はフルートを下ろした。


 「久しぶりですね」

 「ああ」

 「最近、忙しかったんですか?」

 「…………」


 答えを、
 用意していなかった。


 「研究はしていた」

 「それはいつもでしょ」

 「…………」

 「何かありました?」


 星宮に真っ直ぐと見られる。


 「いや」

 「…………」

 「何もない」

 「そうですか」

 「ああ」

 「…………」


 彼女が、
 少しだけ視線を落とした。


 「なら、いいです」

 「…………」

 「コーヒーですか?」

 「ああ」

 「自販機、あっちですよ」

 「…………」


 星宮が指したのは、
 今、自分が歩いてきた方向だった。


 「……先生?」

 「少し歩こうと思った」

 「先生が?」

 「僕も歩くことくらいある」

 「そりゃ歩くでしょうけど」


 彼女が笑う。


 「…………」


 でも、
 いつもよりほんの少しだけ、
 その笑い方が弱い。


 「先生」

 「何だ?」

 「私、何かしましたか?」

 「…………」


 予想していなかった。


 「何故?」

 「だって」


 彼女は困ったように笑った。


 「急に来なくなったから」

 「…………」

 「私、なんか先生が嫌がること言ったかなって」

 「違う」


 考えるより先に言葉が出た。
 彼女が目を丸くする。


 「君は何もしていない」

 「…………」

 「本当に?」

 「ああ」

 「じゃあ、何で?」

 「…………」


 答えは、分かっている。
 だからこそ、言えなかった。





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