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君に唄う 【呪術廻戦*ヒロアカ】

第2章 『泡沫の君に永遠の青を』 五条悟


深夜——。
宿の一室では同行した補助監督が持ち込んだ資料を広げ、夏油とともに過去の記録や事件の精査に当たっていた。
その真剣な二人を横目に、五条は「ちょっと風に当たってくる」とだけ言い残しフラリと部屋を抜け出した。



夜の潮風が心地よく頬をなでる。
静まり返った島の中をあてもなく歩いていると、ふと、波の音に混じって微かな音が耳に届いた。



「……ん?歌声??」



透き通った哀しくも美しい歌声。
美しい旋律の響きが夜の静寂を震わせていた。
六眼を集中させると、遠くからあの少女の澄んだ、けれど激しく揺れる呪力が伝わってくる。
五条が歌声の導くままに足を進めると、辿り着いたのは昼間迷い込んだあの高台——ふたつの墓標が並ぶ場所だった。



月明かりの下、真新しい墓の前で歌っていた少女がふっと歌を止めた。
五条の気配に気づき、弾かれたように振り返る。
その瞳には、昼間以上の怯えと警戒の色が宿っていた。



♪〜


——La... La-La-La...——




彼女が固く結んだ唇を開き、再び短く歌を紡ぐ。
それに呼応するように足元の土を突き破って太い植物の蔓が伸び、五条へ襲いかかる。


「……ッ!?」



だが、蔓は五条の体に届くどころか、彼の数センチ手前で目に見えない壁に阻まれたようにピタリと停止した。
どれだけ力を込めても、その先へ進むことができない。
信じられないものを見る目で目を見張る少女。
五条は襲いかかる蔓を払おうともせず、ポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりと彼女との距離を詰めた。
そして、夜風に髪を揺らせながら、いつもの軽薄さを消した低く柔らかい声で話しかけた。



「……落ち着けって。こちらから手出しするつもりはねぇよ」



驚きで固まる彼女を見つめ、五条は両手をひらひらと挙げて見せた。



「敵意はない。ただ……少しだけ、君の話を聞かせてくれない?」






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