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涙の本能寺

第2章 地獄の三日天下


兼見は声をかけることなく、ただ光秀を見つめたまま変わらない距離で見ていた。その時だ…

「兼見よ…」
「なんでしょうか?」
「あの手紙は…いつ…預かった…?」
「五月二十五日、でしたでしょうか…」

その日付は、信長が本能寺に向かう直前だった。
前日に書いたとしても、それから時期に『茶を飲もう』と書いた相手に討たれるなど…何も疑いすらなかったのだろう。

「なのに……私は…っ」

強く握られたこぶしが畳を叩きつけた。
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