第2章 地獄の三日天下
「…っ信長様…」
涙が落ちては畳が吸い込んでいく。あの時の夢の様に火が上がることも無い…
「十兵衛殿…」
「……」
「罪人だろうと、裏切者であろうと…今の天下人は十兵衛殿ですぞ…」
その言葉がずしりと光秀の心に重くのしかかる。
「その命滅びるまで…全うしていただきたい。あの信長殿の家臣であったのだろう?」
「……っ」
「全う出来たと報告して、また、胸張って信長殿と茶を飲むのであろう?」
光秀の瞳が僅かに揺れた。
「そうだな…殿に追い返されては困る…」
ようやく光秀の顔に、わずかにでも笑みが戻った。