第2章 地獄の三日天下
額をしっかりと畳に付ける様に頭を下げれば、震える声で光秀は目の前の信長に告げた。
「もし次があるなら…苦しい時に苦しいと先にいいます…」
『馬鹿者。なぜ先に言わなかったのだ。天下よりも先に茶でも出した』
その信長の言葉を聞いた光秀はやっと声を上げて泣いた。
「その言葉…っ……生きている内に聞きたかったです…」
『なぁ十兵衛よ。もう泣くな。斬った斬られたはもう置いて行こう。この世の炎で燃え尽きたなら、あの世の風で笑えばいいだろう』
「…っでも…私はあなたを裏切った罪人です…」
『だったらなんだ』
「でも…許されるなら…もう一度殿の隣を歩きたい…」
誰にも聞かせないかった本音だけが零れ落ちていった。