第2章 出会い〜
提供される料理の素晴らしいこと
季節の懐石というだけあって夏の食材がふんだんに盛り込まれた色とりどりの料理、器のセンスもバツグン。味付けも強すぎず弱すぎずの絶妙な旨みが口いっぱいに広がる
本来なら会話を楽しみながらというところなのだろう
正直言ってそんな暇はない
料理と真正面から向き合いたい
五条さんは淡々と口に運び咀嚼している
折角の機会、食事に集中させていただこう
「こちらの水菓子で最後となります。他にご要望はございませんか?」
「僕は大丈夫です、ありがとう」
「私も大丈夫です。素晴らしいお料理の数々に感動しています。身も心も満ち満ちています。ありがとうございました。」
「大変お気に召していただいたご様子、私どもといたしましても本望でございます。館内もお時間が許す限りご堪能いただけましたら幸いでございます。」
丁寧に頭を下げ扉が閉められる
「ものすごい集中力で食事を楽しんでいたね。話しかけられなかったよ」
ニヤニヤしながら声をかけられた
「はい、すっばらしい体験をありがとうございます。五条さんとお知り合いになっていなかったらこんな体験出来なかった」
私は頬が緩んで緩んで仕方がない
「僕は〇〇さんの素直な表現が好き。これからも〇〇さんと時間を共に過ごしたいと思ってるけどどう思う?」
「はい、私も五条さんと過ごす時間はとても心地いいです。これからもお付き合いさせていただきたいです。」
「それは知り合いとして?友達として?それとも恋人として?」
「へ?恋人?」
「恋人になれる可能性はある?」
「…ちょっと待ってください……」
急展開過ぎて頭が回らない
トピックが次々浮かんでは消え……
「混乱してるね。ゆっくり話そうか。」
こちらへとソファーに導かれる
食後のコーヒーを飲みながら五条さんが話し始める
「ここからの話は決して外部には漏らしてはならない情報が含まれている。それでも話を聞いてくれる?」
言っていいこと、ならぬこと仕事柄心得てはいる
しかし、これまではあくまでも他人事
決して漏らしてはならぬ情報を『私事』として抱え、生きていくことができるのだろうか……
一つ深呼吸をして
「はい、伺います」
勝手にそう口から出ていた