
第2章 出会い〜
「もう着くよ、お腹すいたでしょ?昼食も用意してもらってるんだけど好き嫌いある?」
「苦瓜とマンゴーとバナナが苦手です」
「ははっ、ここの料理には使われてそうもない食材だね」
「そうですね、はははっ」
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」
「よろしくお願いします」
「お邪魔します」
「お疲れではございませんか?お部屋もお食事もお風呂もご用意できておりますがいかがなさいますか?」
「食事からお願いします」
「かしこまりました。ロビーでウェルカムドリンクをご用意しておりますのでお楽しみいただきました後にお部屋へご案内いたします」
どうぞと促される
ここって……ここって……
温泉ライターさん垂涎の高級旅館
建物、設備、お部屋、温泉はもちろんのこと、出されるお料理やサービスが超一級で……
一般人は足を踏み入れることさえはばかられる格式と秩序
しかし実態は調和を極限まで高め、誰をも侵さず侵させない空間を整えていると言うことが手に取るようにわかる
「すぅん、はぁ」
心地いい深呼吸ができる自然外の空間はなかなかない
「気に入った?」
厳選茶葉で淹れた温かいお茶をいただく
「はい、とても素敵な空間です。温泉に入る前から洗われたように感じます。」
「そう、気に入ってくれてよかった」
「お待たせいたしました、ご案内いたします。」
落ち着いた美しい館内を進みエレベーターで最上階へ上がる
大きく切り取られた窓から雄大な景色を望む
高台にある建物のさらに上、最上階からの眺めは素晴らしい
「こちらでございます。」
案内されたのは『特別室』
一歩足を踏み入れると一段と空気の質が変わったのがわかる
丁寧なお手入れはもちろん、この部屋を整えた方の気質が穏やかで優しく軽やかなのだろうと感じる
調度品は全て一級品
惜しげもなくセンス良く配置されている
「座って」
お部屋に見惚れていてはっとすると
「お飲み物はいかがなさいますか?」
「冷たいお茶はありますか?
「緑茶、ウーロン茶、ジャスミン茶がございます」
「緑茶をお願いします」
「かしこまりました、五条様はいかがなさいますか?」
「同じもので」
「かしこまりました、本日は季節の懐石料理をご用意いたしました。ごゆるりとお寛ぎください。」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
一息置いて
「いただこうか」
「はい」
『いただきます』
