第14章 滴る
「なんだァ?痴話喧嘩かァ?」
「派手だねぇ……って、アレ、片側名前ちゃんじゃね?」
なんだと
その人影はどんどん近づいてきて、顔が認識できる距離まで来た。
「だから!!義勇くんはこの暗い感じがいいの!!!目が覚めるようなとんでない美人なのに自信なさげで表情筋が全然動かないのがいいのよ!」
「それって結局顔だけが好きってことじゃん?じゃー付き合っても長く続かないんじゃないの」
「顔だけなわけあるか!ちゃんと聞いてた?!美人なのに自信なさげがいいんだってば!!一生懸命頑張って生きてるのに上手くいかなくて“俺はダメなやつだ…”ってなってる義勇くんが最高に可愛いし守ってあげたくなるの!!」
「てかさー、そんだけ顔が良くて自分に自信ないってことある?そういう振りして女の母性くすぐって女遊びしてるやつ俺結構みかけるよ」
「それはあんたがナンパとかするような人だから同じように女落とすことに必死な奴が近くに集まってくるんでしょ!!私の近くにはそんな奴いませんー!類友です!」
「じゃあ仮に義勇くんが本当に自分に自信ないやつだったとして、そんなウジウジされたらめんどくさくね?」
「はぁあああ?!かわいいだろぉおが!!もういい、絶対義勇くんに会わせる。会わせて義勇くんの可愛さ認めさせる。百聞は一見にしかず。」
「てかさ、苗字ちゃん。その義勇くんってこの人じゃないの?」
「え?」
名前がこちらを振り向く。
きょとん、とした顔がかわいい。
が、先ほどのあまりの剣幕が頭から離れない。
後ろで不死川が気まずそうにしており、宇髄は笑いすぎて声が出ておらずしゃがみ込んで顔を伏せている。
「……ぎゆ、くん?」
「…なんだ」
「なんで……あ、もうここ、学校?」
「そうだ」
「「…………」」
「ひっ…はぁ、…ぐふっ…名前ちゃん、まじ、ド派手にサイッコーだなっ…」
笑いを抑えながら宇髄が言うと、名前が冷静になったのか顔を一気に染め上げた。
…かわいい。
「うぉおおおお恥ずかしさで死ぬぅううう!!!」
「道のど真ん中で冨岡への愛を叫んでたなァ」
「不死川さんやめて!!!」
「つかみかかってくんなァ!」