第14章 滴る
「……で、家まで着いてきそうな感じだったので連絡した次第です。いきなりすみませんでした。」
「アイツやべーな、かなり余裕ないんだな」
「飄々とした態度の割には行動が必死だなァ」
俺は今日の仕事が早く終わってよかったと心底ホッとした。
もしまだ仕事だと返事していたら、名前のことだから詳細は伝えず遠慮したに違いない。
そうなったらアイツは名前の家まで押しかけ……襲う、まではいかなくともキスくらいはしたかも知れない。
本当によかった。
「ところで、義勇くん?」
「なんだ?」
「っ…もう恋人のフリしなくて良いので、離れていいですよ?」
「……まだアイツがどこかで見てるかも知れない」
「無理あるって冨岡」
「みっともねぇぞ冨岡ァ」
渋々、名前を離す。
あぁ、柔らかいのと温もりがなくなってしまった…
「ありがとうね、義勇くん。本当にとっても助かりました。不死川さんと天元さんも、ありがとう。」
名前がへにゃりと微笑む。
この笑顔を見ると心がほぐれる。
本当に、どこもかしこも柔らかくて暖かい。
「いいっていいって。おもしれーもん見せてもらったしサイコーだったわ」
「気にすんなァ」
「三人とも夜ご飯まだですよね?時間ありますか?お礼したくて」
「なになに、なんか奢ってくれんのオネーサン」
「女に奢らせんなよ…」
「えー、ご馳走させてよ。義勇くんもきてくれる?」
「もちろんだ」
名前と一緒にいられるなら俺はなんでもいい。
その後、荷物を取りに行った不死川と宇髄と一緒に、仕事を終えた胡蝶と煉獄と伊黒もやってきて、結局みんなで食事に行く事になった。
名前はとても楽しそうに笑っていた。