第14章 滴る
「他に体の接触はあったんかァ?」
「…膝枕を、してくれた。それから抱きしめて撫でてくれた」
「…ちょっと方向性変わってきてね?」
「……俺の好物の鮭大根を作ってくれた…」
「母親なのか?」
あれは本当に美味しかった。
味を思い出し噛み締めていたら伊黒に小突かれた。
痛い…
「冨岡くんが触れてきた時、名前さんはどんな反応だったの?」
「…時々怒ってはいたが、最終的には笑って許してくれた」
「お前それアウトなんじゃねぇの?」
アウトなのか?!
「…連絡先を教えてくれて、別れの時にはまた一緒にでかけようと言われたが、アウトなのか…」
「……セーフっぽいなァ」
セーフなのか…?
どっちなんだ…
やはり人間関係は俺には難しい…
「キスは?」
「してない」(しようとしたが未遂だ)
「なんだよ、本当になにもねーじゃん」
「よかったわ…」
胡蝶が今度こそ胸を撫で下ろした。
手を出してないと判定されたようだ。
さすがに名前の胸に顔を埋めたのは黙っていた。
これを言ってはいけないことくらいはわかる。
「何もしてねーことはねぇだろ、嫁入り前の女の唇やら耳やら触るもんじゃねェ」
「同意」
「同意だ!」
「お前ら武士すぎん?」
とりあえず俺の無実が証明されたので、胡蝶と煉獄と伊黒は仕事に戻った。
なぜか宇髄と不死川は俺の横にいたままで、道が塞がれている為帰るに帰れない。
「てかそんな感じなのに名前ちゃんと付き合ってねーの?」
……まだ続くのか
「付き合っていない」
「だらしねぇなァ、さっさと好きだって言ってこいやァ」
「…………」
それが言えたら苦労しない。
宇髄と不死川の圧に困っていたら、スマホが震えた。
普段まったく震えない俺のスマホが。
(蔦子姉さんか…?)
俺に定期的に連絡を送ってくれるのは姉のみなので、今回も姉だと思って画面をひらいた。
未読メッセージの数字マークの横には“名前”…
「っ!!」
ガタンッ
「うぉっ」
「なんだァ」
思わず勢いよく立ち上がる。
名前から、連絡が来た…
恐る恐るトーク画面を開く。