第14章 滴る
「会ったぞ!飲み会で潰れてしまったことを詫びていたな!それ以外は全く普通だった!」
…いつも通り、か
少しくらい俺のことを気にしてくれても良いのではないか、と思ってしまうのは驕りだな…
土曜日、
名前を口説くと決心した俺は彼女への好意を包み隠さず接したつもりだった。
口下手な俺は宇髄のように色気のある台詞なんて言えないから、行動で示したのだが…やはり言葉でないと伝わらないか…
「名前ちゃんは普通か…」
「相手が煉獄なら動揺も何もないだろう」
「確かにィ」
「冨岡くん、名前さんに何かしたの?」
胡蝶が随分直接的な聞き方をしてきたせいか、皆が一斉に黙って俺をみる。
「……っ…」
俺は名前と過ごした時間を思い出し、思わず顔に熱が集まった。
「よもや…」
「その顔は派手になんかあったなぁ?!」
「吐けやオラァ!」
「冨岡のくせに」
胡蝶が不安そうな顔で俺をみる。
俺を付き添いに指名したのは胡蝶だったから、責任を感じているのだろう…
俺はなんて答えればいいんだ…
言い淀んでいたら、宇髄が口を開いた。
「派手にヤっちゃった?」
「下品な物言いはどうかと思うぞ宇髄!」
「こいつにはこれくらい直球のほうが良いだろう」
「……何をやるんだ、主語を言ってくれ」
「直球でも伝わらねぇなァ」
「セックス以外何があんだよ、地味かお前」
「なっ、していない!やめろっ…」
なんてことを聞くんだ…!
引いてきた熱がまた顔に集まる。
勘弁してほしい。
「よかった、名前さんに手は出していないのね?」
胡蝶が随分とホッとして、念押しで確認してきた。
果たして俺は、手を出していないと言っていいのだろうか…
「……」
「だぁあああっ!そこで黙るのはなんなんだよ!」
「埒があかんな」
「質問の仕方を変えてやらァ」
不死川が腕を組みながら俺の机にもたれかかるように腰掛ける。
「名前さんに触ったんかァ?」
「……触った」
「…どこを」
「腕や唇…耳、首筋に触れた」
「破廉恥だな!」
「おーおー、やってんなぁ」
「なんだか聞いてるこっちが恥ずかしくなってきちゃったわ…!」
不死川は眉間に皺を寄せ、伊黒はゴミを見るような目で俺を見ている…なぜだ…