第1章 水月
「ぁ...あの...」
「......怪我はないか...」
「っは、はいぃっ」
いつもの凛とした声で、おはよう以外の言葉を聞いたのは初めてで、混乱していた頭がさらに興奮した。
だめだ、冷静になれ。
ここでこの人に嫌われたら私は終わる。
一回、丁寧に呼吸をして、心を落ち着かせる。
「た、助けていただいて、ありがとうございます...」
言えた!!
ちゃんと言えた!!!
セーーーーーフ!!!!!
「...礼には及ばない」
「いやいや、というか、あなたのほうがお怪我とかっ...」
そうだよ、決して軽くはない私を受け止めたせいでアスファルトに尻もちなんて、下手したら尾てい骨骨折とか....!!!!
「俺はしていない...立てるか」
「あっ、ハイッ!!!!!!」
すっくと立ち上がる。
言われてみればずっと竹刀先生の膝に乗っていた。
テンパリすぎだろ。