第13章 白露
「あれってなんですか?」
「……昨晩の様に、抱きしめて、頭を撫でてほしい…」
「……はい!?」
この人はほんとにもう…!!
もう!!!!
「あの心地よさが、忘れられない…責任をとってほしい」
「なにこっちのせいにしてんですか!」
「名前が酔って寝ぼけてやってきたのだから、名前のせいだ」
ぐぅっ…なんだよ、いつもの口下手どこやったんだよ!!
正論いってんじゃねぇよ!
「いっ…1回、だけなら…」
「!」
あぁ…嬉しそうな顔してる…
その顔を見れるならまぁいいかと思ってしまう自分がいる…
推しじゃなかったら殴ってるのに!!
そもそも推しじゃなかったら寝ぼけてても抱きしめたりはしないか。
義勇くんを抱きしめようと腕を広げたら、私が抱きしめる前に義勇くんの方から胸に飛び込んできたので、その勢いで上半身がソファに倒れ込んでしまった。
つまり、押し倒されたのだが、彼は無自覚だろう…。
もう、ここまできたらどうにでもして…
心臓はもう壊れました…
「……」
彼の頭を軽く撫でる。
見た目の印象よりふわふわでやわらかい髪は、撫でている側も気持ちいい。
「…どうですか」
「心地良い……が」
「が?」
「心臓の音が、昨日よりうるさい」
「!!!」
そりゃあね!!!
今シラフですから!!!!
くそぉおおお年下のくせに!!
お前の髪の毛もっと堪能してやる!!!
義勇くんの髪をわしゃわしゃと大胆に撫でる。
だが、彼は気にしてない様子だ。
すると、今度はとんでもないことをしだした。
「…ちょっと、義勇くん!」
「なんだ」
「なんだじゃなくて…!」
やろう、私の胸に顔を埋めやがった。
服の上から谷間をかき分ける様に、胸に顔を擦り付けてきた。
「さすがにそれはどうかと思う!!!」
「……昨日の名前は、怒らなかった」
「昨日は酔ってたし寝ぼけてたの!!」
調子にのってる!!絶対調子にのってる!!
この人、けっこう狡賢いな?!
「それするんならもう終了にするよ!」
「なんだと」
「当たり前です!」
義勇くんはしぶしぶと言った様子で胸から顔を離し、今度は私の首筋に顔を埋めてきた。
…反省してねぇな!