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すいめいのひと

第12章 水の綾



私のちんちくりんな体型に驚いているのだろう…

「私、手足が短くて…こんな仕上がりになっちゃった…」

苦笑いしながら義勇くんに言うと、彼は眉間にぎゅっと皺を寄せ、口を一文字に結んだ。

そ、そんな顔をするくらい見窄らしかっただろうか…


「……腹は減っているか」

「えっ、あっ…少し?」

義勇くんはキッチンの方へ行くと、何かを手にしてそれをダイニングテーブルの上に置いた。

複数個のパンだった。
しかもただのパンじゃない、これは…

「竈門ベーカリーのパン!」

私もたまに買いに行く、味もとても美味しいし店員さんもとても感じが良い素晴らしいパン屋さん。
家族で経営しているようで、たまに息子さんや娘さんが店番をしていて、その子達もとっても良い子だ。

「生徒の家なんだ」

「…え?!そうだったんですか?!」

「あぁ…昨日、その生徒からたくさんパンをもらったから、食べると良い」

「い、いいんですかぁっ」

「…俺では食べきれない…食べてくれると助かる」

「……いただきますっ!」

適当なパンに手を伸ばし、口に運ぶ。

「っ…あぁ…うまぁぁ…」

まじでうまい
初めて食べた時もあまりの美味しさに感動したな。

「よかったな」

義勇くんが微笑む…
美味しすぎるパンに、顔が良すぎる推しの微笑み…
今死んでも幸せだと思う。

「名前」

「ふぁいっ!?」

夢中でパンを貪ってたら突然名前を呼ばれたので義勇くんを見ると、
こちらに身を乗り出し手を伸ばしていた。

「…ついている」

ぐっ…と、義勇くんの親指が私の口の端に触れた。
そのまま拭われるのかと思ったら、義勇くんはピタリと動きを止め、その後なぞる様に親指を私の唇に持っていき感触を楽しむようにフニフニと触ってきた。
そしてまた口の端に移動し、今度こそ拭って、指についたパンの屑をぺろっと舐めた。
この一連の動作の間、私はただただ固まっていた。

「………」

「どうした?」


ど う し た じゃ ねぇ よ

ゴンッ!!!

(ビクッ)

私は自分のデコを思いっきりテーブルに叩きつけた。
冷静になるために。

義勇くんはびっくりしている。
いやびっくりなのはこっちだわ。

「名前…大丈夫かっ…?」

だいじょばない…全然だいじょばない。
顔をあげれない…私は今真っ赤だ。
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