第11章 漣
「ま…まさか、本当に…?!」
「!…いや、違う。襲われてはいない…」
"は"ってなに"は"って!襲ってはないけど他の何かはしたってことだよね?!
「わ…私は…一体何をっ…」
わなわなと震えていたら義勇くんが気まずそうに口を開いた。
「俺の頭を…」
頭?!
「胸に抱えて、撫でてくれた…」
「……」
「抵抗しなければと思ったが、あまりにも心地よかったのでできなかった…本当にすまない…」
推しの頭を胸に抱えて頭を撫でた…?
しかもそれが心地よかった…??
記憶!!!!甦れよぉおおおおお!!!
「…こ、こちらこそ、すみません…」
「…いや…」
「…お、お詫びを!!お詫びをさせてください!!!」
思わず椅子から立ち上がり身を乗り出す。
そんな私を見てびっくりしていた義勇くんだが、すぐに何か考える素振りを見せた。
「詫びというのなら…2つ、聞きたいことがある」
「なんでしょう?」
意外だ…絶対にお詫びはいらないって言うと思ったのに。
聞きたいことってなんだろう。
「名前さんは…」
「はい」
「その…」
「……」
「……」
義勇くんが黙ってしまった。
そんなに聞きにくいことってなんだろう…怖くなってきた…。
「あの…義勇くん?」
「……」
彼は眉間に少し皺を寄せ、葛藤しているように見えた。
安心して欲しくて、テーブルに置かれた彼の手に自分の手を重ねてみる。
「!」
「なんでも答えますよ。だからなんでも聞いてください。」
「…」
「口で言いにくいなら、メッセージアプリ使います?」
義勇くんが私の言葉にコクリと頷いたので、連絡先を交換することになった。
こんな形で義勇くんの連絡先を知ることになるとは。
試しに、私からスタンプを送ってみた。
義勇くんはそれを確認した後、ゆっくりとした動作で文字を入力していく。
そして、私の元にメッセージが届いた。
《不死川のことがすきなのか》
思ってもいなかった文面に、思わず勢いよく義勇くんの顔をみた。
彼はなぜか不安そうな顔でこちらをみていた。
「なんでですか??」
意味がわからない。
なぜそう思ったのか。
不死川さんに対し、そんな素振りをした覚えはない……
「寝言で…不死川の名を呼んでいた…」
「寝言??」