第8章 せせらぎ
「は、な、れ、ろっ……力つえぇなァ?!」
「いやだっ…良いって言ってくれるまでっ…はなれないっ…!」
「…っ………www!!!」
ピコンッ
不死川さんにデコを掴まれものすごい力で押されるが、離れまいと必死にしがみつく。
私にはわかる、不死川さんはこう見えて面倒見がいいタイプだ、絶対。
こうやって駄々を捏ねたら最終的には折れてくれるはず…。
天元さんは笑いすぎて声すら出てないのに今度は動画撮り始めた。
「オィ宇髄!てめーなんのために一緒に立番してんだぁ!さっさとあの話しろォオ!!」
「あ、そうだった」
不死川さんは私のデコを押しながら天元さんに叫ぶ。
あの話…?
「名前ちゃんさ、今日俺らの飲み会来ない?」
「飲み会??」
「そ、冨岡もくるぜ」
「え?!義勇くんも?!」
突然の推しの情報に思わず手を離す。
不死川さんはものすごい速さで私から距離をとった。
「くそっ、やられた…!」
不死川さんが目を釣り上げてこっちをみている。
シィイ…と息の音がきこえる…威嚇されてるみたいだ。
ごめんて、そんなに怒らないでよ…こっちも必死なんだってば。
「どうだ?参加できそ?」
天元さんが返事を促す。
そうか、この人その話するために今日いたのか。
今夜は特に予定もないから、参加はできる…だけど…
「でも、教員の皆さんでやる飲み会ですよね?私お邪魔なんじゃ…?」
参加したらすんごいアウェイだよね、私。
「気にすんなって、むしろ名前ちゃん呼ぶっつったら楽しみにしてるやつのが多かったぜ。な、不死川」
「胡蝶とかな」
カナエさん…!!うわぁ、会いたい。
美人にお酌したい…!!!
それに絶対、義勇くんにも!!!
お酒を飲む義勇くん…ほろ酔いになったら頬が赤くなったりするのかな…ああだめ妄想だけでのぼせそう…
「参加します!」
「鼻血拭けェ」
おっと、いけね。
テッシュで鼻を抑える。