第8章 せせらぎ
「…それで私、彼氏いるんでって言っちゃったんですよ!いないのに!でもこれで諦めてくれるかなと思ったら、今度はその彼氏の写真見せろって!ねぇよ!本当はいないから!」
「おい、落ち着けェ」
「名前ちゃんおもしれぇー」
2人に話してたらあの時の苛立ちも思い出してブチギレてしまい、不死川さんに宥められ、天元さんにはゲラゲラ笑われた。
おいあんたゲラなのかよ。
こっちは真剣に悩んでるのに!
「そんで私がいつまでたっても写真見せないから向こうも嘘だって気づいたみたいで、そこからまぁしつこいんすよ!!取引先でこっちが強気に出れないからってむかつく…!!!しかも今日そいつが職場にくる日なんですよぉお」
はぁあああ…と盛大にため息をつく。
「それであんな浮かない顔してたわけね」
「確かに憂鬱にはなるわなァ」
そーなんです…と呟いた後に、私に名案がおりてきた。
「そうだ!!不死川さん私の彼氏になってくださいよ!!!」
「ハァ?!」
「ブフォッ」
約1名吹き出したのは置いといて、不死川さんは珍しく顔を赤らめて目を見開いた。
おー、レアな顔。
意外とウブなんかなこの人。
「フリですフリ!私の彼氏っぽい顔して私と写真撮ってくださいよ!お願い!!」
「どんな顔だよ!てかなんで俺なんだァ!」
「だって今ここにいるの天元さんと不死川さんだけだし、不死川さんの方が見た目おっかないから向こうが諦めてくれると思うんです!」
「さらっと失礼なことを言うんじゃねェ!」
「確かに不死川相手なら諦めそうだよなー」
ひとしきりヒーヒー笑った後、天元さんが涙目で口を挟んできた。
こいつ人の不幸を本気で面白がってやがる…
なんて男なんだ宇髄天元。
そんなことより、
「お願いしますぅ!お願いしますぅ!迷える子羊を助けて!!」
ガシィッ
カシャシャシャッ
「だぁああっしがみつくんじゃねェ!!宇髄テメェ撮るなァ!」
「ギャハハッ派手にサイコーwwwww」
人の不幸は蜜の味ヤローはもうどうでもいいとして、ここで不死川さんを説得しなければ、私はこれからもナンパ男に悩まされ続けることになる!
そんなのいやだ!私は仕事以外の時間…なんなら仕事中でも推しに頭のリソースを使いたい!
しつこいモブナンパ男に使うキャパなんか本来1ミクロンもないの!!!