第8章 せせらぎ
あれからも私の推し活は順調だ。
相変わらず義勇くん(とたまに不死川さん)に会うと、少しだけ会話をして仕事へ向かうのがルーティーンとなっている。
あと、不死川さんと同じくらいの頻度で、もう1人別の男性が立っていることがある。
炎みたいな髪の毛をした、声がとても大きい人。
その人は名前も知らないし、挨拶以外の会話もしたことがないが、溌剌としているのでこちらまで元気が湧いてくる気がする。
まぁ私が1番元気出るのは義勇くんだけどね!
だけどここ最近、私の仕事へ行く足取りは少し重い。
職場の取引先の男性から、連絡先を教えてほしいとしつこく言われているのが原因である。
今までそれとなく断り続けていたのだがなかなか諦めてくれず、仕事関係の人なのであまり強く言うこともできずにいる。
決まった曜日に職場にやってくる人で、今日がその曜日の一つ、金曜日だ。
だから少し憂鬱...。
憂鬱な気分を少しでも吹き飛ばしたいので、今日も推しに会えますように…!
学校が近づいてきたが、祈り虚しく、今日の撲滅運動は不死川さんと…珍しく天元さんもいた。
「おはようございますー」
「はよー、名前ちゃん」
「おはよーさん」
「なんか浮かねぇ顔してんな」
「いやいやそんな…ことない、ですよー」
「歯切れ悪ぃなァ」
だめだ、推しに会えないせいで憂鬱な気分が晴れない…
「いやぁ、ちょっと…うーん…やっぱなんでもないです」
「おいおいおい派手に気になる言い方するんじゃねぇよ」
「なんかあったんなら言ってみろォ」
愚痴ってもいいのだろうか…
いやでも友達でもないのによくないよな…
「…いやいや、お二人に聞かせるような話では「とっとと言えやァア」はい喜んで!!」
この顔で凄まれたらさぁ
無理やん?
私は2人に、取引先の男性からしつこく言い寄られてることを話した。