第1章 水月
2日目。
すっかり忘れていたけど、学校が見えてきた時に思い出した。
そして居た。
相変わらず石のように無表情で、(顔が良すぎるから彫刻みたい)竹刀を持って仁王立ちしていた。
自転車の速度を落として、私から挨拶してみた。
「おはようございます」
「...おはようございます」
特に驚く様子もなく、無表情のまま淡々と挨拶が返ってきた。
そのまま通り過ぎる。
私は笑顔で挨拶したのに、彼は少しも微笑まなかった。
挨拶運動としてはどうなのかと思ったが、個人的にはめっちゃ良いな、と思った。
昔から二次元でクールキャラを推しにしがちな私にとって、彼は新たな推しになったのだ。
明日からも挨拶しようと、私の推し活が始まった。