第1章 水月
自宅を出て自転車で約10分の距離に、私の職場はある。
その途中、自宅を出て約5分の距離に、とある学校がある。
朝の通勤時、その学校の門の前に立っている男性教師(と思われる人)に挨拶をすることが私の日課だ。
2ヶ月前、こっちから行ったほうが早いんじゃないかと通勤ルートを変えたら知り合った人。
いや、挨拶しかしないから知り合いというのもおこがましいかもしれない。
1番最初に見かけた時、なぜ竹刀を持っているのだろうと通り様にじっくり見てしまい目が合った。
顔を見て、随分とまぁ整った顔立ちだと感心してさらにまじまじと見てしまったものだから、向こうが気まずくなったのか、それとも不審者だと思われたのか、
「......おはようございます.....」
と挨拶をされたのだ。
小さい声だったけど、低く凛とした声で
まだ人通りもほとんどない時間帯だったから、私の耳にしっかり届いた。
そしてとにかく無表情だった。
「あ、はいっ、おはようございますっ...」
思わず反射的に返してしまい、そのまま通り過ぎた。
(あれか、あいさつ運動か)
自分の学生時代に思いを馳せ、職場に向かった。
それが1日目。