第1章 LazyGirl
ベッドの端で裸のままタバコを吸う私と、
その腰に抱きついて私の匂いを嗅いでいる元カレ。
サイドテーブルの灰皿に灰を落とした私に、
彼がボソッと上目遣いで聞いてくる。
「お前さ、俺に彼女できたらどうすんの?」
ちょっと意地悪で、カマをかけるような声。
私が焦ったり、嫌がったりするのを期待しているのが
透けて見えてウザい。
私は煙を吐き出して、顔も見ずに即答した。
「おめでとう」
間髪いれずに返すと、腰を抱く手にぐっと力が入る。
沈黙。
私の吸うタバコの苦い匂いだけが、狭い部屋に漂う。
やがて、私の背中に額を押し付けた彼から、
消え入りそうな低い声が漏れた。
「……出来てない」
「知ってる」
背中に額を押し付けたまま、惨めそうに呟いた元カレ。
私は自分の指に挟んだ紙巻きタバコから立ち上る紫煙を眺めながら、
淡々と続けた。
「まあ、あんたに彼女できたらさ、
私は、相性のいい相手でも探すかな」
その瞬間、私の腰を抱く腕が、骨が軋むほど強く絞められた。
「お前の性格についてこれる男なんて、早々いねえよ」
捨て台詞みたい。
『俺だからお前とこうしていられるんだ』という、
元カレ特有の浅はかなプライドなのか、私への下らない嫌味なのか。
私はふっと口元だけで笑って、
タバコを灰皿で揉み消すと、彼の頬に触れた。
「いや、性格は何でもいいや。大事なのは身体の相性でしょ」
「は?」
彼の喉から、息が漏れる。
綺麗な顔が、歪んでいくのが見えた。
自分の意志で『なんか違う』って私を振っておいて、そんな顔をする。