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クズでごめん、

第1章 LazyGirl


 
『終電ない。泊めて』
 
私を振ったにも関わらず
数週間に一度は私にメッセージを送ってくる。
 
もう寝るだけ。
無理だったら無理と言うけど、来たいなら来ればいい。

結論、安定の既読スルー。
 
既読の印がついた、瞬間。
すぐ行く、ってスタンプがひとつ。
 
付き合ってた時から変わらない、私が可愛いって言ったらしいスタンプ。
彼がそう言ってたから、私はそう言ったのだろう。
見慣れすぎて、もう可愛いとすら思わないスタンプ。

 
その後、ほんとにすぐ来た。
いつも通り。別れたのにいつも通りってなるのが、変な感じ。
それでも、いつも通り。
 
「相変わらずヤニくせぇな」
そう言って玄関で渡されたコンビニ袋にはアイスが入っていた。
これもいつも通り。
 
「新作出てた」
「昨日食べた」
大きなため息が聞こえた。食べたんだから仕方ない。
可もなく不可もなく、平均的にまあ美味しいアイスだった。
 
「もう食べたとかさ、普通言わねーだろ」
「わー、アイス嬉しいーありがとーー、はーと」
感情の乗らない棒読み。
残念、私はそんなサービス精神旺盛な女ではない。
 
「はーと、ってなんだよ」
「愛情を表現するための記号を音にしてみた」
「愛情表現なんて存在したことあった?」
「受け取り側の気持ち次第」
 
私はもたもた靴を脱ぐ彼を玄関に置いたままリビングへ戻る。
ソファに沈み込んで袋からアイスを出す。
何度見ても昨日ぶりの可もなく不可もないアイスだ。
それをリビングテーブルの上に置いてタバコに火をつけた。
 
「あんたさぁ、なんでいつも一個しか買わないわけ?」
「夜中にひとりで一個食うと太るって言ってたろ、お前」
「気にしなきゃいけない体型ってこと?」
「……いや、しらねーよ。お前が言ってたんだろ」

そんな事言った覚えがない。たぶん。
でも、言ったんだと思う。彼はそういうの覚えてる。
 
確か、付き合いはじめはひとりで一個食べてたはず。
いつの間にかふたりで一つを食べるのがルールになっていた。
なんとなく、取り合いして食べるのが楽しかった気がする。
美味しいとか、そうでもない、とか、
どっちのひとくちが大きいか、みたいなの。

今はそんなでもないかも。
いつの間にか隣に座ってる彼がアイスを食べている。
そして、タバコを吸ってる私の口元に、たまに餌付けみたいにアイスを運ぶ。
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