【H×H 短編集 ✴︎ R18】狂気の先にある日常
第1章 赤いシャツ ※裏 イルミ×使用人
機会は思わぬ早さで訪れた。
ナレッタが洗い立ての衣服をイルミの部屋に戻しに来て、部屋を去ろうとしたその瞬間だった。
「待って」
低い声に、ナレッタは立ち止まった。
「お前、最近ずっと俺のこと見てるよね」
「いえ、イルミ様。そのようなことはございません」
「バレてないと思ってる?」
イルミは、バサリと上半身の服を脱いだ。白い肌に薄い筋肉の線が浮かび、黒い瞳が微かに細められる。
「そんな欲情した顔してさ」
「……」
「ウチは恋愛禁止だし、欲求不満なんだろ? してあげるよ」
そう言いながら、イルミは大きなベッドに腰を下ろした。脚を軽く開き、まるで「おいで」と招くような仕草をよこす。
欲求不満と言えばそうだ。だが、イルミは何か勘違いをしている。だが、ナレッタにとってイルミの勘違いなどどうでも良かった。むしろこの絶好のチャンスを逃す手はない。
「では、失礼いたします」
ナレッタは静かに歩み寄り、イルミの懐に滑り込んだ。太ももに跨り、静かに唇を重ねる。
ここまで近づけるだけでも、想定外にうまくいっている。このままイルミを骨抜きにし、隙を作り、致命傷を与える――。
イルミは様子を見るように、軽く動きを合わせてきた。そのまま大きな手が背中に回りそうになった瞬間、ナレッタはすかさず肩に置いた手に乗りあげるようにして、イルミを押し倒した。
「っ……」
「……。お前、すごいやる気だね。相当溜まってるの?」
「……」
挑発は無視した。
お喋りなど必要ない。イルミの口を塞ぐように、舌を尖らせ一気に捩じ込む。イルミは一瞬目を僅かに見開いたが、徐々に丸く大きな黒い瞳が細められていく。それでも、完全には閉じない。
(油断しているうちに、一撃を)
ナレッタが次の手を考えている間にイルミが動き出した。イルミの長い指がナレッタの黒いスラックスのボタンを外し、チャックを下ろす。腰骨のあたりを指が摩ると、ナレッタはぴくりと反応した。イルミの舌がゆっくりと引き抜かれ、微かに濡れた唇をチラリと舐めた。
「そんなにがっつかれると、なんだかキルアが好物のステーキ食べてるとこ思い出した。まあでも、悪い気分じゃないよ」