【H×H 短編集 ✴︎ R18】狂気の先にある日常
第2章 被験体 ※裏 シルバ×イルミ×教育係
次の日。
シルバの後ろを付いて、イルミが部屋に入ってきた。
見た瞬間、あたしは思わず息を呑む。
イルミはズタボロだった。
腕には無数の傷が走り、脇腹からは血がじわじわとシャツに滲んでいる。顔にも薄くアザが浮かんでいるのに、本人はいつものように平坦な表情のまま、あたしの前に立った。
シルバが軽く顎をしゃくると、イルミはあたしを吊り上げるようにして拘束を確認する。傷だらけの腕が視界に入り、そこに目が釘付けになった。
「ちょっと、イルミ。その傷、どうしたの?」
「別に、いつも通りだけど」
イルミはあっけらかんと答えた。
血が滲んだ脇腹を、まるで他人事のように一瞥してから続ける。
「ああ、これは。今日は体術の訓練で手合わせしてからここに来たんだよ。それでかな」
言葉のわりに、傷口は深そうだった。なのに声のトーンは変わらない。いつも通り、だと言う。
「そっかぁ」
あたしも、いつも通り能天気に軽く返した。
一度満たされた身体は、それでもまだ熱を残していた。昨日の余韻が残っているせいか、シルバの視線を感じただけで、奥がきゅっと収縮する。
満たされたはずなのに、また欲しがってしまう。そんなふうになる身体が自分でも嫌になる。
シルバが短く言った。
「昨日の続きだ」
イルミがうなずき、真面目な顔であたしに向き直る。
昨日よりは動きに迷いが減っている。コツを掴みかけているのが、触れてくる手の位置からわかった。
「ん……っ」
腰を押さえられ、腕に体を預けさせられる。イルミの指がそっと内側を探る。びくっと肩が跳ねた。
逃げようとした腰が、逆に追ってしまう。イルミはすぐに手の軌道を変えた。