【H×H 短編集 ✴︎ R18】狂気の先にある日常
第2章 被験体 ※裏 シルバ×イルミ×教育係
なのに腰は勝手に動いてしまう。
喉の奥から出てくる声は、もうねだりそのものだった。
「あんっ……あっ、あん……」
犬の鳴き声みたいに短く、甘く漏れる声が自分の鼓膜に響く。
おかわりをねだるみたいな声は惨めだ。そうわかっているのに本能が従っていく。
自分で腰を浮かせているのか、シルバに動かされているのか、境界が曖昧になっていく。
「あんっ……もっと……あん……」
悔しい。
こんな下衆な男に、ここまで飼い慣らされるなんて。
なのに、果てる瞬間が近づくにつれてその悔しささえも遠のいていく。
ただ、もっと深く、もっと強く、と身体が求めてしまう。
「やめないで……っ、お願い、いかせて…………んんんっ……!!!」
熱が身体の芯から溢れ出したとき、目の奥が熱くなった。
涙が抑えきれずに溢れてくる。
悲しみの涙ではなかった。与えられたことへの、純粋な喜びのような涙だった。
言葉にならないまま、それが次々と溢れ、頬を伝い、顎を伝って落ちていく。
「はあぁっ……」
鎖の痛みも腕の震えも全部遠くなって、ただその温かい雫だけが、あたしのすべてを洗い流していくみたいだった。
シルバは抜き取ると、枷を外してくれた。
金属の音が、静かに部屋に落ちる。
「明日も訓練だ。休んでおけ」
淡々とした声だった。
あたしはもう、動く力も残っていない。
「はあっ……、はあっ……」
床に崩れるようにして、荒い息を繰り返している。
どろり、と太腿が濡れる。
涙はまだ、ゆっくりと頬を伝っていた。
どうせシルバは一糸乱れぬ仏頂面の下で、ちょろい馬鹿女とか思ってるんだろうな。それでも、今はそれさえどうでもよかった。今はただ、与えられた余韻に身を沈めていたかった。
長い銀髪を揺らしながら部屋を去る、その背中を見つめる。
自ら従っているのか、支配されているのか――その答えさえ、もう自分ではわからなかった。