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【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜

第5章 二人きりの散歩道


(……莉子まで行っちゃった)

気づいた時には、穂乃果はイルミと二人取り残されていた。

さっきまで隣にいた友人たちの声が遠ざかり、急に静かになった気がする。
靴紐を直してもらっているという、ただそれだけのことなのに、足元が妙にくすぐったい。
その感覚から逃れるように、穂乃果は何気なく周囲を見渡した。

すると、そこで初めて気づく。
木陰を歩く男女。
ベンチに並んで座る二人。
少し先では、女性が男性の腕にごく自然に自分の腕を絡ませている。
よく見れば、あちらにもこちらにも、さりげなく男女が二人きりになっている。

(えっ……みんな普通に……?)

誰も恥ずかしそうになんてしていない。
腕を組むのも、肩を寄せるのも、まるで当たり前のことみたいだ。

(大人って、こういうものなの?)

そう思った途端、自分が今、イルミと二人きりでいることまで急に意識されてしまう。

「これでよし」

その声に、穂乃果はびくりと視線を戻した。靴紐を結び直したイルミが立ち上がる。

「あ……ありがとうございます」

「……」

けれどイルミは歩き出さなかった。
穂乃果の顔を、じっと見ている。

(え?)

長身の彼を見上げる格好になる。
生暖かい夏の風が木々を抜け、イルミの黒髪をわずかにさらった。
それでも視線は動かない。
まっすぐ自分に向けられている。

穂乃果は思わず息を呑んだ。

(見つめられてる……!)

さっき目にしたカップルたちが、頭の中を次々とよぎる。

(な、なんで……)

まさか。

(私も……?)

一瞬のうちに、穂乃果の顔は自分の想像により、じわりと薄ピンクに染まる。

(もしかして……)

イルミが一歩近づく。
穂乃果の口元へゆっくりと指が伸びてきた。
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