【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第5章 二人きりの散歩道
(……)
反射的に息を止める。
(き、きた……!)
「……ここ」
「……っ」
「ニキビ」
「え?」
「痛そう」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
イルミはそんな穂乃果には構わず、ポケットから小さなチューブを取り出した。
「こういうの、早めに塗った方が治るよ」
「あ……ありがとうございます」
受け取りながら、穂乃果はさっきまで膨らみきっていた自分の想像を必死でなかったことにした。
イルミは自分の顎を指先で触る。
「そういえば俺、最近そういうのできないな」
「……」
「もうそういう年齢じゃないのかな」
(し、知らないよぉ……!)
恥ずかしさで顔を上げられない穂乃果をよそに、イルミは今度は空を見上げた。
「この辺、日差し強いから」
そう言って、ごく自然にクリームを手に取る。
「使った方がいい」
「え?」
返事を待つより先に、指先が穂乃果の頬に触れた。
「消炎成分配合で日焼け止めも入ってる」
白いクリームが、するりと肌の上へ伸ばされていく。
さっきとは違う意味で、また身体が固まった。
「よし」
それだけ言って、イルミは蓋を閉める。
「あ、ありがとう……ございます」
「うん」
「……」
「日焼けすると痛いし。あげる」
穂乃果は差し出された日焼け止めを両手で受け取る。
本当に、それだけだった。
(違ったぁぁぁ……!)
心の中で叫びながら、穂乃果は火照った顔を隠すように俯いた。