【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第5章 二人きりの散歩道
木々の間を縫って照りつける陽射しの下、ヒソカと夏希の唇が、軽く触れ合う。
「んっ」
ヒソカの指先が、夏希の腰のくびれをゆっくりとなぞる。
夏希の吐息がかすかに乱れ、柔らかな唇が応えるように押し返してきた。
「ひ、ヒソカっ……」
夏希の熱を帯びた声に、ヒソカは口元だけで笑った。
「おっと。今日はここまで♢」
「……え?」
夏希は思わず目を丸くする。
軽く触れただけの唇が、するりと離れる。追いかけるように、夏希はつま先立ちになって身体を伸ばした。
けれどヒソカは、その仕草さえ楽しむように、ふわりと身を引く。
「っ…」
長身のヒソカを見上げる。
追ってくるなら歓迎、そんな愉しげな目をしているのに、簡単には捕まってくれない。
「何だよ、それ。ヒソカ……紳士かよ」
「そういう訳じゃないけどね♢」
腰に回された手が、名残惜しそうにゆっくりと離れていく。
指先が服の上からわずかに肌を掠め、その感触だけが夏希の背筋に熱く残った。
怪しげに口角を吊り上げるヒソカの脳裏には、やたらとコンプライアンスを気にするイルミの顔が浮かんでいた。
イルミはまだ幼い弟たちにそれを叩き込むだけでは飽き足らず、一緒に行動する相手にまで容赦なく押しつけてくる厄介な男だ。
後であれこれ文句を言われるのも面倒だし、何よりそんな理由でイルミとの縁が切れてしまえば、自分の楽しみとバイト先が一つ減ってしまう。
「イルミが五月蝿いからね♢」
「……は?」
「キミがもう少し熟れるまで、楽しみは取っておくよ♢」
そう言って、ヒソカは夏希の頬を指先でひと撫でした。
「……馬鹿。変態」
夏希が赤くなった顔を隠すようにそっぽを向こうとした時――、
ピッ
ヒソカの指先から、一枚のトランプが軽やかに弾かれる。
夏希は慌ててそれを両手で受け取った。
ダイヤのエース。
その表には、電話番号が書かれている。
「こ、これ……?」
「ボクの番号♡」
ヒソカは口元を緩める。
「次に会う時は、遠慮はしない。お互い本気でいこう♡」
夏希はトランプを胸の前でぎゅっと握りしめる。
「うん! 絶対連絡する!」