【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第1章 震える指先
穂乃果には、まだ彼氏ができたことがなかった。
三重にいた頃も、学校やアルバイト先で気になる人には出会えず、暇さえあればスマホ片手にネットゲームをして過ごしていた。
そこで知り合ったのが、ミルキだった。
『課題、なんとかなりそう?』
『うん。ミルキくんのおかげで。』
『そうか。よかった』
少し間が空く。
『他にも何かあれば相談しろよ。夏休み終わってから「あれ忘れてた!」じゃ困るだろ』
ミルキのいつも通りの気遣いに、穂乃果の口元が自然と緩む。
『ミルキくんに相談したから、課題はもう大丈夫。……あ、でも』
『どうした?』
『やり残したことって言えば……』
『何?』
『じ、実はね…』
『ん?』
『私、三重にいた頃からちょっと引きこもりぎみだったでしょ。ずっと彼氏がいなくて。今年こそ恋してみたいなって』
画面の向こうからの返信が、ぴたりと止まる。
(あ……変なこと言っちゃったかな)
数秒後。
『そんなの気にすんな。今からでも全然遅くない』
『そうかな?』
『おう!』
さらに少し間が空く。
『じゃあさ、一つ提案がある』
『うん?』
『よかったら』
穂乃果はその先の返信を待つ。
『軽井沢に行きませんか?』
飛び込んできた文字に、穂乃果は思わず目を見開いた。
『俺も夏だし、旅行とかしてみたくてさ』
『そうだったんだ』
『お互い友達連れて、現地で合流しない?』
『どうしよう……』
『知り合いのホテルがあってさ。そこなら全部込みで一人一万円くらいで泊まれる』
『うーん』
『だめ……かな?』
『ホントにいいの?』
返信はすぐにきた。
『もちろん』
穂乃果の指先が少し震えた。