【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第1章 震える指先
穂乃果は今年、大学進学をきっかけに地元三重県を離れ、東京――と言っても埼玉県南東部で一人暮らしを始めたばかりだった。
大学生活にも少しずつ慣れ、今は初めての夏休みを迎えている。
いつものようにエアコンの効いた部屋でスマホを開く。
課題に取り掛かる前に、まずは「どうすれば効率よく終わらせられるか」を考える。
穂乃果は勉強はそこそこできる。けれど決して頭が切れるタイプではない。努力して、ようやく人並みに届く。
だからこそ、一人で抱え込むより誰かに相談することをためらわなかった。
スマホの向こうには、ミルキがいる。
穂乃果にとって彼は、どんなAIよりも的確で、疑問を一つひとつ解決へ導いてくれる相談相手だった。
課題について相談しているうちに、やるべきことが整理され、少しずつ目処が立ってくる。
(この分なら、八月は少し余裕がありそう)
そう思った瞬間、ふと別のことが頭をよぎる。
課題にバイト。
残りは涼しい部屋でアイスを食べながら動画を眺めて過ごす夏も、悪くはない。
けれど、せっかく東京へ出てきたのだから。
(……今年こそ、恋をしてみたい)