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【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜

第4章 波乱のカラオケ


誰かが、一曲歌うたびにルーム内はどんどん熱を帯びていく。


その輪からほんの少しだけ離れるように、穂乃果とイルミは端の方に座っていた。

穂乃果はサブスクもやっていて、流行りの歌もよく聴いている。曲は知っているのに、一気に高くなったテンションについていけずにいた。
ちらりと、隣に座るイルミを見る。

同じように乗り切れていないように、ノリについて行こうとすらしていないように見えるイルミを横目で見てみれば、なんだか気のない様子で膝の上に腕を置いてLINEを打っている。


気づけば穂乃果はイルミを横目で伺いながらテーブルの上に手を伸ばし、黙々とフライドポテトを口へ運んでいた。

「……」

一本。また一本。さらに一本と、皿が半分空になろうとしていることにも気づかないまま。
文字を打つ手がスマホの角度を僅かに晒し、画面の端に一瞬だけLINEの文面が映った。

(あ、見えちゃった……)

穂乃果はイルミに斜めに背を向けるようにモニターに視線を移す。
それでも目に飛び込んできた文字を無意識に反芻してしまう。どうやら今日これからの予定を話しているらしい。


『今向かってる。着いたら何する?』
『まずはランチかな』
『分かった』
『店、気にいるかな』
『なるべく腹空かせとくよ』


やり取りはどこか淡々としていて、デートというより事務連絡のように見えた。
相手は誰なんだろうか?

(イル君って、なんか謎だよね……。クールだし真面目そうだし、歌とか興味なさそう……)




突然、皿がすっと遠ざけられる。

「!」

「食べ過ぎ」

声の方を見ると、ポテトはイルミの手元へ移動していた。

「わぁっ……ごめんなさいっ」

イルミはスマホをテーブルに置くと、代わりにタブレットを操作し始める。

「後々の事考えてる?」

「後々……??」

「今、シーザーサラダ頼んだから。それにしときなよ」

「……! そっか。どうしよう……私、また太っちゃいますよね?」

「それは知らない」

「あぁぁ、どうしようっ……すいませんっ」

「落ち着いて。ま、これからは気をつけてよ」

「は、はい……」

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