【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第4章 波乱のカラオケ
――ゾルゾル歌広場。
🎶「ずっと〜眺めていた〜♪」
カラオケルームに響き始めた伸びやかな歌声に、女子三人は思わず息を呑んだ。
マイクを握るクロロは、まるでライブ会場に立っているかのような余裕で歌い上げている。
莉子がぽかんと口を開ける。
(っ……何この人、めちゃくちゃカッコいい!!!)
莉子の視線はマイクを持つクロロに釘付けだ。
🎶「I want to fly, waitin' for sunrise. I want to fly, waitin' for sunrise. 」
クロロは最後まで一切息を乱すことなく歌い切った。
力強いドラムがラストの鼓動を打ち鳴らし、その上をエレキギターが弾ける。
夏の陽射しをガラスに反射したような音色が部屋を満たしたまま、鮮やかな余韻だけを残して曲は終わった。
静寂。
音が消えたはずなのに、胸の奥ではまだギターの残響が鳴り続けている。
「きゃーーー!!」
「すごーい!」
「カッコいー!!」
割れんばかりの歓声と拍手が、一気に爆発する。
「やばい! 鳥肌立ったんだけど!」
「団長さん、カッコ良すぎます!」
そんな中、莉子だけはまだ固まっていた。
「莉子?」
「……」
「莉子?」
「……え?」
ようやく我に返る。
「ご、ごめん」
莉子はふらりとスマホを取り出した。
「今の曲、何?」
「配信ある?」
「ライブは?」
「ファンクラブとか……」
「莉子?」
「握手会は?」
「え?」
「サイン欲しい!」
「落ち着いて」
さっきまでの優等生はどこへやら。
莉子は完全に推しを見つけたオタクになっていた。
「だ、団長。こ、この曲は、一体?」
内心では、莉子はもう曲名どころではなかった。
目の前の男の声も、立ち姿も、笑った横顔まで、すべてが眩しく映る。
莉子の問いかけに、クロロは少し意外そうに首を捻る。
「……L’Arc〜en〜Cielを知らないのか?」
「初めて聞きました!」
「何?! …そうか」
少し驚きを隠せないながら、クロロはマイクを持ったまま腕を組み神妙に頷く。
「名曲揃いだ。この機会に押さえておけ」
「はい!!」