【H×H ミルキ】夏の大作戦 〜軽井沢に行きませんか?〜
第3章 賑わう車中
運転席から離れた最後部座席に座る穂乃果からは、細部まではよく見えない。
それでも、ゆるめの白いタンクトップから覗く陽に焼けていない引き締まった腕と、ハンドルを切るたびに手首で控えめに光るシルバーのブレスレットだけは、不思議と目に留まった。派手ではないのに、どこか品がある。
「あー! じゃあ、これからそっちに行くのって――」
「ピンボーン♢」
「仕事で行くとこだな。夏季の繁忙期は俺たちも手伝っている」
「へえ……」
いつの間にか穂乃果も三人に興味が湧いてきていた。
「ホテルの管理って他にどんなことするんですか?」
「他は……たまにいる不審者を追い返したり」
「不審者?」
夏希が目を丸くする。
「それ、大変そう!」
「別に――」
イルミはまったく表情を変えずに言った。
「――私有地だから、『関係者以外立ち入り禁止です。お引き取りください』って言うだけ」
「…………」
三人が顔を見合わせる。
「……普通」
「当たり前でしょ」
イルミは首を傾げた。
「他にどんなやり方があるって言うの?」
ヒソカが意味ありげに口角を吊り上げる。
「普通はそれで帰ってくれるんだけどね♢」
クロロが苦笑する。
「イルミの場合、帰らない相手は大抵いない」
「え?」
「だって帰らない理由ないじゃん」
「それでも帰らない時は?」
夏希が興味津々で尋ねる。
「それは……」
イルミは一瞬だけ考えてから、答えた。
「企業秘密」
「えーー!」
「気になります!」
「教えてよ!」
「駄目。会社のマニュアルだから」
ヒソカが肩を震わせる。
「会社のマニュアルなんて初めて聞いたよ♡」
クロロも苦笑する。
「聞かない方がいい」
「えっ、そんなに?」
「いや」
クロロは穏やかに笑う。
「知らないままの方が、平和だ」