第5章 独裁者
椿は悟が再び昴に手を出さない様に抑えるように抱き付いた。
悟は使用人達に連れて行かれる昴を黙って見下ろしている。
その目はいつでも昴を殺してしまう様だった。
直哉は昴と一緒に、部屋を出て行った。
ドアが壊れた執務室の中に、悟と2人きりになる。
「……ちょっと来て。」
椿は悟の腕を掴んで執務室から出た。
長い廊下を悟の腕を掴みながら歩いた。
意外にも、悟は黙って椿に着いていく。
椿は人払いをすると、部屋の中に悟を入れた。
どうやらそこは、椿の寝室の様だ。
椿は部屋に入ると大きなため息を吐いて、悟の腕を離した。
「……なんで昴にあんな事をしたの?」
キツく悟を睨み上げながら椿は言った。
昴は椿にとって、ジョーカーの様なモノだ。
毎日見る悪夢から逃れる為に、昴は自分の側に置いておきたい。
これから直哉を殺そうかと思う計画も崩れる事になるかもしれない。