第9章 よくない変化
「椿の言っていることは、僕に興味が無いと言っているのと同じだ。そんな言葉は聞きたくない。」
悟は怒るでもなく、落ち着いた声でそう言った。
悟の目が少し伏せられた時に、青い目の中の銀色の破片が揺れた。
それが、悟が椿の言葉に傷付いたのだと分かった。
それに気が付いたら、無償に彼に怒りが湧いた。
「…今さら謝って貰っても、過去を無かったことには出来ないわ。」
なんとも思ってなかったのに、悟を非難する言葉は驚くほどスムーズに出てきた。
「私はあなたの周りにいた女の人よりも、容姿もよく無いし、愛想もないから、あなたが他の女の人に惹かれるのは仕方の無いことだと思っていたわ。」
「椿が他の女より劣っていると思ったことなんて一度も無い。」
椿が自分と他の女を比べて、卑下することに、先ほどまで穏やかだった悟の声が一段大きくなった。
そんな悟が余計に腹が立って、椿は肩に触れている悟の手を払った。
「私とは正反対の女の人ばかり選んでいたじゃない。地味で愛想のない私を馬鹿にしながら楽しんでいたんでしょう?」