第5章 独裁者
「椿、この犬っころ殺していいよね?」
「だっ!駄目に決まってるでしょ!!」
椿に確認する悟の体にしがみ付いて、椿は叫んだ。
椿は悟が何故昴に対して怒っているのか分からない。
呆然とこちらを見ている直哉を見て、殺すなら直哉を殺してくれと叫びたくなる。
「昴!大丈夫?!」
悟の腕を離して、昴の体に触れる。
どうやら息はしている様だが、虫の息とはこの事だろうか。
あの悪夢に対して自分がとってきた今までの行動が無意味になりそうになり。
椿は大きな怒りが湧いてきた。
「早く昴を運んで!!」
椿はドア越しに見ている使用人達に声を掛ける。
「椿邪魔だ。」
そんな椿にはお構いなしに、悟は本当に昴の息の根を止めようとしているようだ。
「……お願いだから、辞めて……。」
昴がいなくなってしまったら、全ての計画が狂ってしまう。