第4章 強かな婚約者
椿の執務室のドアが大きな音で破壊される。
部屋の中に居た3人が一斉にドアの方に目をやった。
声にならないほど驚いたのは、ドアを壊して入ってきた悟の。
隠そうとしない苛立ちに当てられたからだ。
「……悟……。」
椿はやっと絞り出した声で悟の名前を呼んだ。
椿が悟を呼ぶと、直哉もパッと椿から離れた。
その状況を黙って見ている悟に、椿は少し期待した。
もしかしたら悟は直哉が椿に触れた事に苛立っているのかもしれない。
あんなに気が立っている悟を見るのは初めてだ。
それこそそのまま暴れそうだ。
なら、直哉が殴られるなら、それはそれで良いものが見られるかもしれない。
元々、直哉から身を守る為に悟と婚約しているのだ。
自然と椿も直哉から体を離して、悟の攻撃に備えた。
しかし、椿の予想とは裏腹に、悟が向かった先は直哉ではなくて昴だった。