第4章 強かな婚約者
そんな答えを簡単に出せる位に、椿はすでに狂ってる。
毎晩見る悪夢は、簡単に椿の心を壊して。
直哉への憎悪だけを強くさせていた。
「…なんや…顔付き変わりよって…。」
思わず漏らした椿の笑みを見て、直哉もまた不敵に笑った。
ソファから立った直哉が椿に近付いてきた。
椿はその直哉を直視したまま目は逸らさなかった。
「…悟くんとも仲良くしてる訳やないんやろ?」
悟との微妙な仲はすでにみんな知っている。
お互い好き合っている訳ではなく、何故椿が五条家を贔屓にしているのか。
誰も分からなかった。
ただ単に直哉が嫌いだからと。
五条家を贔屓することに、特別な意味もない事を伝えたならどうなるだろうか。
直哉の手が伸びて、椿の体に触れた。
現実で初めて触れられた感触に、椿の顔が思わず歪んだ。