第4章 強かな婚約者
その時、悟の部屋で何があったかは。
椿が知る事はもう無かった。
女を部屋から出した後に、悟は1人呆然としていた。
この前とは違って、今日は抱くつもりで呼んだ。
なのにすぐに女が部屋を出る羽目になったのは、悟の都合だった。
全く。少しも。
目の前の女に下半身が反応しなかった。
女が触れて来ても気分が昂まるどころか。
その気持ちはどんどん冷めていく様だった。
そんな事は初めてで、多少は慌てたが悟は気持ちを乱す事は無く女を部屋から出した。
女が傷付かない程度の気遣いだけで部屋を出した後は、すぐに窓を開けた。
気分を変える為と、頭を整理させる為だった。
悟は大きく息を吐いて首を垂れた。
実は…何となく分かっていた。
椿以外の女に不快感を覚えた時から、きっともう今までの様に誰でも抱けるはずが無いと。
(あー……最悪だな……。)
本当はそれを1番恐れていた。
自分はきっと椿に触れたら、もう他の女なんて抱けないと。