第4章 強かな婚約者
椿は悟の誕生日の日の浮気現場で、自分を見上げた悟の顔を思い出して笑ったのだ。
いつも傲慢で自尊心が高く澄ました様な表情を崩さない悟が。
あの瞬間、椿と目が合うと慌てた顔をしていた。
それが椿にはおかしかった。
お互いに興味が無く、義務の様な婚約なのに。
あの時の悟は、恋人に浮気がバレたかの様に、戸惑いを見せた。
(…貴方でもそんな顔が出来るのね…。)
夢の中でも悟とは何度か出会った事がある。
伊集院家と濃密な関係になりたい直哉と違って、悟は椿には興味が無かった。
いつ会っても目が合いはしたが、お互いすぐにその目は逸らされる。
会話をした事も数える位で。
直哉からの情報が無ければ、悟が呪術界トップに立っていた事すら知らなかった。
そんな悟が、自分の浮気がバレたら慌てて。
自分に関心を示さない椿に苛立ち。
その苛立ちをぶつける様にキスをしてきた。