第4章 強かな婚約者
あんなにみっともない大人にはならないと思っていたのに。
あの夢は本当に椿の性格を良く知り、忠実に再現している。
夢でも椿はこうして直哉の動向を監視していた。
それは勿論、今の悟にしている行動とは違って、嫉妬に駆られた感情的な行動だった。
「…寝室に入りました。」
昴の言葉を聞いて、椿は眉間に手を置いた。
悟に対して直哉と違って愛情が無くても、自分のモノが共有されるのは気分が良く無い。
夢ではそれこそ直哉の部屋の中すら監視しようとした位だ。
悟の部屋に女が入ったのを確認する位、椿には軽い衝動だった。
「……その女も調べて。」
「……その位、人を使って下さい。」
面倒くさそうに言う昴に、椿は少しムッとした。
しかし、そこまで昴に悟の全てを共有するのもまた違う気がする。
「じゃあ、いつもの所にデータ送って。」
今までの悟の女の遍歴は全て把握している。
だがそれで悟にどうして欲しいなどは無かった。