第4章 強かな婚約者
昴がセットをした望遠鏡を覗いて、仁美はやっと悟の部屋の中を確認出来る。
悟の部屋に当たり前の様に入っていく女性と、それを受け入れる悟の様子が目に入った。
「こんな事、いつも通りお金を払って人に頼んだらどうですか?」
望遠鏡から離れない椿を見て、昴はため息を吐きながら言った。
いつもなら、悟の身辺調査など他人に任せるのに。
椿はたまにこうして、自分の目で悟の行動を監視する事があった。
昴はそんな椿が理解出来ない。
悟の前ではほんの一瞬の興味も無いように振る舞う癖に、陰ではこうして悟の行動の全てを知ろうとする。
だけどその心境が、恋心からでは無い事を、昴は良く知っている。
「……婚約破棄の証拠にでもするんですか?」
「……昴…うるさい…。」
どうやら椿に、そんな気も無いようだ。
椿は夢の中でも禪院直哉に執着していた。