第3章 愚かな傍観者
老いた祖父に、まだ小さな子供を育てるのは難しかったのだろう。
椿が昴を迎えに行った時には、昴は祖父の保護下に置かれている境遇にしては、劣悪だった。
「『一条昴』今日から貴方の名前よ。」
人口が100人満たない僻地の田舎で。
牛小屋で牛の世話をしていた昴に椿は手を差し伸べた。
昴を祖父から買った瞬間だった。
椿は昴が術師になる事を望んだ。
禪院直哉から自分を守る為の駒にする為に。
そして、昴を育てる役を悟に任せた。
昴が無事に8歳を超えた時。
椿は歓喜に震えた。
未来は変えられるはずだ。
イカれた令嬢?
そんなのなんとも思わない。
6歳の頃からイカれた悪夢を何度も見させられているのだ。
自分が殺される瞬間。
愚かにも男に縋り情欲に耽る自分の姿。
6歳の幼い精神状態ならイカれて当たり前だ。
自分が死なない為なら、イカれても壊れても生き延びてやる。