第3章 愚かな傍観者
直哉が授からなかった、相伝を持った少年の事を。
夢の直哉は言っていた。
運良く見つけて、そんな子供を8歳の時に殺したと。
直哉の術式より歴史の古い『十種影法術』は、直哉にとって脅威だった。
他の禪院家に見つかれば、次期当主は直哉で無い恐れがあったから。
生き残る為には、禪院家、五条家、呪術界の全てを知る必要があった。
呪術界とこの世の均衡を壊した夢の中の自分では、いつまた殺す機会を与えてしまうか分からない。
利口になるんだ。
殺されない為にも。
私はただ笑っていればいいお人形でいてはいけない。
呪術界もこの世界も牛耳る必要があった。
誰にも殺されない為にも。
直哉への切り札の為に、『一条昴』を探す事にした。
昴は遠い禪院家の分家で、既に両親は非術師の一般人だった。
両親が事故で亡くなり、昴は祖父と一緒に暮らしていた。