第3章 愚かな傍観者
『あなたにするわ、五条悟。』
『あ?』
五条悟を名指しにして、初めて真正面から彼を見た。
直哉との初対面とは対照的で、その時何のトキメキも無い。
むしろ生意気そうな顔でお互い睨み合っている。
(性格は悪そうだけど、命が助かるならそんな事どうでもいいわ。)
夢の中とは違い、明らかに喜ばれない婚姻宣言。
それでも五条悟は椿の指名を断れない。
絶対的な地位の差。
それこそが伊集院椿の力だった。
そうして、無理矢理五条悟を婚約者に名指しした夜。
椿はいつもと違い、胸が高鳴るのを抑えて眠りについた。
『もう悪夢は見なくて済むはずだ。』
そんな胸の高鳴りは、すぐに絶望の色に変わった。
確かに夢の内容は少しだけの変化はあった。
だけど、直哉に殺される結末だけは変わらなかった。
同じ様に何度も何度も呪霊にグチャグチャにされて、椿は叫びながら夢から醒めた。